宮間 怜一7月7日アタシ恋が知りたいの(1)ミ「ねえねえ、琳って好きなコいるの?」 琳「んー? 今はフリーだよ」 ミ「今は!?」 琳「昔は付き合ってる人いたよ」 ミ「あらー♡ …あのー、訊いていいのかしら」 琳「女の人」 ミ「あっ、そうなのね!」 琳「全然いいんだけど、やっぱりね、めちゃくちゃ訊かれるんだよね。性別と...
宮間 怜一5月8日自分を殺そうとした君にあたしの旅の目的は、『自分』を倒すこと。 『今まで散々試したじゃん』 『首を絞めようが、凶器を振るおうが、君は僕を殺せない』 『今更そんな何の変哲もないナイフで、僕をどうする気?』 『僕のことが、殺したいほど憎いのは知ってるよ。でもさあ、どうやって倒すの?...
宮間 怜一4月26日うちの子短歌もどきBlueskyに掲載したもの まとめ 不定期更新予定 ■飛鳥 ループする世界でまだ会ったばかりのはずのあたしと寝られる貴方 (→琳) 恋バナの好きな親友(あなた)が可愛くて 恋なんてしている暇はない! (→ミカ) いま倒した魔物を食えるか訊くな 今夜悪夢に出たらどうする (...
宮間 怜一2023年3月5日はじめのはなし少女が望んだのは『主人公』だった。 どこをとっても他人より優っておらずどこをとっても他人ほど劣っていない平凡な自分が、 主役になれる世界を望んだ。 かくして『世界』は少女の願いを聞き、舞台を用意した。 夢の中、少女には三人の友人がいた。三人が羨むような、素敵な恋人も。...
宮間 怜一2023年2月23日無欲な男は寂しがり「おや、ナイフだ」 武器の手入れをしていると新しい雇い主が覗いてきた。 「というよりは短剣かな?」 「元は双剣でな、子供の頃に買ってもらって、もう一本は年子の兄が持っている」 「へえ、いいね。でも普段使うのは槍だろう? 使い分けるの?」...
宮間 怜一2023年2月22日彼とリラ失礼だけど、最初彼が屋敷に来た頃、彼が少し怖かった。 女の子のようなきれいな顔立ちをしていたけれど、眼帯をしていて、顔も手も皮膚がボロボロ、それを隠すように暑い季節も全身着込んでいた。 世界には魔法障害というものがあるらしい。...
宮間 怜一2023年2月18日最後の旅のはじめの夜夢の中でも夜は来る。 船の軋む音。波の音。まだ二人だけの客室は静かだ。 これから、長い旅になる。あと五人もの仲間を迎えて、色々な街を巡って、修学旅行みたいな毎日を過ごすんだ。 そうして旅路の果てに、憎き悪役を倒したらもう終わり。あたしは現実世界に戻って、何もなかったみたいに...
宮間 怜一2021年3月3日楓谷眞透という男遠い昔、自分も弟もまだほんの子供だった頃、弟はよく悪い夢を見た。 涙目で朝を迎えては、年の離れた末の弟に泣きべそを見られないように、 がむしゃらに目を擦っていた。 友達を殺す夢なのだと弟は言う。 毎度同じ夢を見て、毎度同じ誰かを同じ人数同じ手順で殺し、...
宮間 怜一2018年8月22日オーダーメイド「髪は長いのと短いのどっちが好き?」 自分一人しかいないはずのリビングで、少女の声がした。 「どっちかといえばショートかな」 「じゃあ長くするね」 声の発生源は僕の背後、少し上の方。たぶんソファの背もたれに腰かけているのだろう。 僕が黙っていると、声は話を続けた。...
宮間 怜一2017年6月1日写真とケータイ露店で売っていた菓子を口にしながら街を歩く。談笑する六人の後ろ姿。 たぶん今日の夕方くらいの写真だ。 シャワーを浴びて部屋に戻ると、そんな画像を映した小さな機械を飛鳥が眺めていた。 「それ、写真機だったの? 電話だと思ってた」...