宮間 怜一2023年3月5日クベース 飛鳥-4船に乗るなんて、家族で行った湖のボート体験以来だと思う。 「この船で、向こう岸の街まで?」 「うん、そこから東へ東へ進んで、ナバトという小さい町を経由するのがいいと思う」 次の町の名前はナバト。そこに2人目の仲間がいる。...
宮間 怜一2023年3月5日クベース 有羽-2「天峰ってあの天峰? 元同じクラスでギャルでもオタクでもなく特筆することの特にないどこにでもいるようなあの天峰?」 「うん、その天峰飛鳥ちゃん」 「それは……何? この謎空間でお早い同窓会でも開くわけ?」 「いや? 呼んだのは君ひとり」 「何故に」 「仲良いでしょ?」...
宮間 怜一2023年3月5日クベース 飛鳥-3翌日。春間近の晴れ空は色が薄い。 ここの通りは服飾品や武器防具の店がかたまっているのだと聞いた。今日は丸一日かけてあたしの旅支度を手伝ってくれるらしい。 あたしはと言うと、当然と言ってしまうと悪いのだが、とにかくこっちの世界のお金がない。諸々の資金がリンとチェリッシュのポケ...
宮間 怜一2023年3月5日クベース 飛鳥-2『異世界』に来る前のあたしはどうだったかというと、特別なことの何もない普通の中学生だった。 他の誰かほど頭はよくないし、運動もできないし、話が上手なわけでも可愛いわけでもない。それでいて他の誰かほどそれらができなさすぎるというわけでもない。...
宮間 怜一2023年3月5日クベース 有羽-1時を同じくして俺は、妙な男の手によって、俗に言う『異世界』なる場所に拉致誘拐されていた。 誓って言うが、俺はトラックに轢かれるような場所にはいなかった。転生するようなフラグは何一つ立てていない。俺は先日夢見が丘中学校を卒業し、高校に入学するまでの春休みを謳歌すべくポテチを食...
宮間 怜一2023年3月5日クベース 飛鳥-1スタート地点に降り立つとき、いつも、街は夜の始まりの色で染められている。 海風の香り。酔ったように浮つく身体。星のように瞬く街灯りの下にいた、これまた星のような金色の瞳をした人と目が合った。その人に駆け寄ろうとしてあたしは、 *...