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時系列順 記事一覧
◆ …メインストーリー ◇ …サブストーリー Stage1 海と砂の街 クベース 異世界に舞い降りた飛鳥。仲間になってくれたリンとともに旅立ちの準備をしていると、 街の人の不思議な慣習を目にするのだった。 + 開閉 ◆クベース 飛鳥-1 ◆クベース 有羽-1 ◆クベース 飛鳥-2 ◆クベース 飛鳥-3 ◆クベース 有羽-2 ◆クベース 飛鳥-4 ◆クベース 幕間 ◇最後の旅のはじめの夜 ◇海淵の仔 Stage2 街燈樹の町 ナバト 仲間を集めたいと言う飛鳥に、リンは旅人案内所を紹介する。 旅の道中で出会った、怪物退治を仕事にする見透を仲間にしたいと考えるが…… + 開閉 ◆ナバト 有羽-1 ◆ナバト 飛鳥-1 ◆ナバト 有羽-2 ◆ナバト 飛鳥-2 ◇回想 第n-1試行 ◇お前の旅の目的は(4) ◇無欲な男は寂しがり Stage3 カーニバルの町 カンタード 賑やかな街に着いた一行。飛鳥の荷物を盗んだ少年を追いかけ、 少年をとっちめると、そこには孤児院があった。 + 開閉 ◇お前の旅の目的は(1) Stage4 華と森の街 ティカ
2023年3月2日


来し方のヘアピン
「あいつ、何処行ったんだ……」 旅の仲間も増え、街での買い出しは二組に分かれて行動することが多くなった。それで今日は俺とミカの二人で南東エリアの店を回ることになっていた。 周辺で最も栄えているこの街は、旅人も街に住む人間も数が多い。特にこの辺りの様々な店が立ち並ぶ通りは人の少ない時間がない。賑わう雑踏の中、あいつは自分が他の人間より背が低いことも忘れて人の波に入り込み、そのまま姿を消してしまったのだった。 買うものや立ち寄る店の名前はリストにしてあるが、これはほとんどが共用の消耗品に関するものだ。いなくなる直前に『春用の上着が欲しい』と言っていたあいつが、リストにない服屋なんかに入り込んでいたりすると流石に捜しようがない。道中でリストにある店を確認しつつ、飛鳥たちとの合流場所のある方角へ向かっていくしかないだろうか。 「ねぇ、そこのおにいさん」 ふいに後ろから少女の声がする。知らない相手に話しかけるような口ぶりにかすかに疑問を感じながらも声の方へと振り返る。 「アタシみたいなヒト、見てない?」 言葉通り、声の主が指差しているのは、自分だ
1月26日


海淵の仔
海のど真ん中で、子供を拾った。 東の港から戻る船旅の途中、オルカンシアの群れに遭遇した。群れというより、何かに群がっていると形容するべきか。──その中心に、人間の子供が浮いていた。 オルカンシアたち海獣の類いは、自分の子供の呼吸を助けるため、水面へと押し上げる習性がある。稀に同じ要領で他の生物をも助けることがあるとは聞いていたが、実際に目にしたのは船に乗るようになって十数年、初めてのことだった。 少女は多少体温の低下がみられたが、命に別状はないそうだった。 ただ、目を覚ますのには時間がかかった。海から少女を引きあげた際、少女はオルカンシアによく似た形状の、大きな真っ黒い浮きにしがみついていた。少女は海の只中、魔法でこの浮きを造り出し、それによって魔力切れを起こしてしまったのではないか、というのが船医の見解だった。 オルカンシアは俺たち船乗りにとって身近な生き物にして、俺たちの航海を見守る神の使いだとも言われている。他に船も何も見当たらない中、オルカンシアに囲まれて独りこんな沖に浮かんでいたこの子供を、うちの船員どもは神の子かはたまた妖物
1月7日


はじめのはなし
少女は『平凡』という言葉が嫌いだった。 教室にいる他の人間と自分を比べ、誰かほど突出して優れた点もなければ突出して劣った点もない自らのことを『無個性』であると感じていた。『普通』や『平凡』という言葉を嫌悪し、それらの言葉がふさわしい自分自身のことも、少女は忌み嫌っていた。 家庭環境や友人関係に大きな不満はなく、人並みに苦労し、人並みに幸福な日々を送っていた。それでも時折、小さな波が押し寄せるような不安を感じることがあった。 それは教室で談笑している最中ふと自分だけがグループから離れた位置にいるような感覚であったり、みんなで家路を辿る途中でこっそり姿を消しても誰も気付かないのではないかといった憂いであった。そういった、自分が何かに埋もれて見えなくなってしまうような不安を、少女は誰にも悟られぬように背中に隠していた。 毎日のルーティンを終え、あたたかな布団にくるまるとき、少女は薄っすらと憂鬱な、『朝が来てほしくないような気持ち』を抱いていた。 『これは夢だ』と、自覚のある状態で見る夢を明晰夢という。 夢の中、少女は夕陽に染まる教室にいた。
2025年7月9日


お前の旅の目的は(4)
「へぇ、そういう区別なんだ」 「……お前は、どういう定義だと思っていた?」 「うーん、プロかアマか、かな? それをメインで仕事にしている人が傭われ」 「じゃあ旅人の本業は?」 「旅だろう」 「そういうことだ。傭兵(おれたち)は依頼人の旅路に付き添い、時に道を教え、時に障碍を取り除く。『旅の目的』があるのは依頼をしてきた旅人で、俺たち自身に行き先や目的はない」 「じゃあその前は? 傭われになる前、貴方は何だった?」 「……家を離れてから俺は、こっちの定義(いみ)ではずっと傭兵だった。それより前は、ただの子供だ」 「どうして家を離れたの」 「……くだらない理由だよ」 「ふーん」 「お前の旅の目的は?」 「私も莫迦みたいな理由だよ。一緒だね」 「……」 「表向きの話をするなら、当面は飛鳥の旅のサポートが私の行動の軸になるかな」 「飛鳥とは長いのか?」 「まだそんなに。でも、境遇が近いんだ」 「境遇?」 「『異世界』って知ってる?」 「いや」 「船でも飛空便でも辿りつけない、遠い土地だ。あの子はそこからひとり迷い込んだ」 「……」 「私も大体似たようなも
2025年6月3日
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