船に乗るなんて、家族で行った湖のボート体験以来だと思う。
「この船で、向こう岸の街まで?」
「うん、そこから東へ東へ進んで、ナバトという小さい町を経由するのがいいと思う」
次の町の名前はナバト。そこに2人目の仲間がいる。
あたしが造った夢の世界。あたしが造った登場人物(キャラクター)。知ってると言ったら未来予知になってしまうから話せない、あたしの目的。
それはあいつを倒すこと。あたしだけでは倒せないあいつを、仲間と一緒に。
あたしは完璧に生きてみせる。皆を傷つけずにハッピーエンドを迎えてみせる。
小さい光が目に飛び込んだ。
星の指輪が朝日を反射している。
旅の御守り。『何もないように』ではなく、『何かあっても大丈夫でありますように』。
小さな祈りはあたしの心を少しだけ軽くした。
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