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ナバト 有羽-2
「なんだそれ」 「よくあるでしょこういう水晶玉。今でない時間や、この場でない場所を遠隔で覗ける感じの。……宙に浮く画面とかの方が今っぽいかな?」 「いやどっちでもいいけど」 どうやらこいつは気遣いというものを覚えたらしい。俺がいつまで経っても外に出れないことに対して文句を...
宮間 怜一
3月9日
ナバト 有羽-1
「あのさあ、なんでまたこの部屋なん?」 前回あれからどうなったかを、読者諸賢にはご説明しよう。 シュロ・マリアンというこの変な男は、この物語における倒すべき黒幕・ラスボスとしての役目を全うすることを望んでいるらしい。ところがその意気込みとは裏腹に、この寝呆け野郎には服装...
宮間 怜一
3月9日
クベース 幕間
「僕の名前はシュロ・マリアン。この世界を滅ぼさんとする魔王さ」 この常に眠そうなツラを最大限キリッとさせて奴が放った渾身の決め台詞に対し、『そんな全身ユニクロみてえな恰好した魔王がいるか』とうっかりバッチリツッコミを入れてしまった結果、魔王陛下はすっかりしょげてしまわれた...
宮間 怜一
2024年12月11日
自分を殺そうとした君に
あたしの旅の目的は、『自分』を倒すこと。 『今まで散々試したじゃん』 『首を絞めようが、凶器を振るおうが、君は僕を殺せない』 『今更そんな何の変哲もないナイフで、僕をどうする気?』 『僕のことが、殺したいほど憎いのは知ってるよ。でもさあ、どうやって倒すの?...
宮間 怜一
2024年5月8日
クベース 有羽-2
「天峰ってあの天峰? 元同じクラスで、ギャルでもオタクでもなく、特筆することの特にない、どこにでもいるようなあの天峰?」 「うん、その天峰飛鳥ちゃん」 天峰飛鳥という人間に対する印象は、いま語った通りだ。普通オブ普通。夢の中だなんだと言っていたが、こんなファンタジー超常現...
宮間 怜一
2023年3月5日
クベース 有羽-1
時を同じくして俺は、妙な男の手によって俗に言う『異世界』なる場所に拉致されていた。 誓って言うが、俺はトラックに轢かれるような場所にはいなかった。昨今のラノベあるあるの異世界転生をするようなフラグは何一つ立てていない。俺は先日晴れて市立夢見ヶ丘中学校を卒業し、高校に入学す...
宮間 怜一
2023年3月5日
彼とリラ
失礼だけど、最初彼が屋敷に来た頃、彼が少し怖かった。 女の子のようなきれいな顔立ちをしていたけれど、眼帯をしていて、顔も手も皮膚がボロボロ、それを隠すように暑い季節も全身着込んでいた。 世界には魔法障害というものがあるらしい。...
宮間 怜一
2023年2月22日
オーダーメイド
「髪は長いのと短いのどっちが好き?」 自分一人しかいないはずのリビングで、少女の声がした。 「どっちかといえばショートかな」 「じゃあ長くするね」 声の発生源は僕の背後、少し上の方。たぶんソファの背もたれに腰かけているのだろう。 僕が黙っていると、声は話を続けた。...
宮間 怜一
2018年8月22日
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