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来し方のヘアピン
「あいつ、何処行ったんだ……」 旅の仲間も増え、街での買い出しは二組に分かれて行動することが多くなった。それで今日は俺とミカの二人で南東エリアの店を回ることになっていた。 周辺で最も栄えているこの街は、旅人も街に住む人間も数が多い。特にこの辺りの様々な店が立ち並ぶ通りは人の少ない時間がない。賑わう雑踏の中、あいつは自分が他の人間より背が低いことも忘れて人の波に入り込み、そのまま姿を消してしまったのだった。 買うものや立ち寄る店の名前はリストにしてあるが、これはほとんどが共用の消耗品に関するものだ。いなくなる直前に『春用の上着が欲しい』と言っていたあいつが、リストにない服屋なんかに入り込んでいたりすると流石に捜しようがない。道中でリストにある店を確認しつつ、飛鳥たちとの合流場所のある方角へ向かっていくしかないだろうか。 「ねぇ、そこのおにいさん」 ふいに後ろから少女の声がする。知らない相手に話しかけるような口ぶりにかすかに疑問を感じながらも声の方へと振り返る。 「アタシみたいなヒト、見てない?」 言葉通り、声の主が指差しているのは、自分だ
1月26日


お前の旅の目的は(2)
「アタシ? アタシはねぇ、いくつかあるけど、やっぱり一番の要因は飛鳥かしら」 「そうか」 「今までも、友達や親しい人がいなかったわけではないんだけどね。こんなに気の合う人って、なんだか久々で」 「……ずっと前から、友人だったみたいな感覚?」 「そうそう! ミッスも心当たりある?」 「なんとなく」 「不思議な子よね。距離感がちょうどいいのかしら。そんなだったから、飛鳥が旅立つって聞いたとき、なんだかとても名残惜しくって。もっと一緒にいたい、この子と言葉を交わしてみたいって思って、ついてきちゃったの。押しかけたみたいになっちゃったかしらね」 「いや、押しかけたって言うならどっちかというと」 「……グレイ?」 「グレイ」 「そんなことだと思ったわ」 「まあ、飛鳥やリンはお前を歓迎している。加入は何も問題ない」 「アナタは?」 「俺は、よほどのことがない限り口出ししない」 「あ、もしかしてアナタ、傭われなの? 護衛役?」 「それと案内役」 「そうだったのね。リンは? てっきり旅慣れしてると思ってたわ」 「陸路の旅には疎いらしい」 「そういうことね。あっ、
2025年6月3日


うちの子短歌もどき
Blueskyに掲載したもの まとめ 不定期更新予定 ■飛鳥 ループする世界でまだ会ったばかりのはずのあたしと寝られる貴方 恋バナの好きな親友(あなた)が可愛くて 恋なんてしている暇はない! さよならを言うための旅だったのに なんでそんなすぐ会いに来るの ■琳 チョコレート色の目、髪はココア色 彼女はきっと甘い味がする 「ありがとう、一番じゃないけど好きよ」なんて言っても 許してくれる? 本日は自己主張の少ない君が「海行きたい」と言った記念日 ■見透 左利きの彼女は喜ぶときに「一緒だね」「お揃いだね」と言う ■ミカ 「可愛くねえ」なんて言うから「あらイヤだ、見る目のない男」と返すのよ ■シュロ なにもかも思い通りの世界なら 君は髪の毛何色にする? ■リラ なによそれ お姫様抱っこ知らないの? ほんとに知らない? あとで教える 好きな花とか訊かれても知らないから あの娘が好きな花を答えた
2024年4月26日
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